おかんが ICO する時代

おかんが ICO する時代がきました

2017年5月、ニューヨークで行われた Consensus 2017 に行った時、自分の親くらいの年齢の女性から「私、ICO するんだけど」と話しかけられました。本当の話です。念のため。

5月にそういう出来事があって「おかんが ICO をする日も近いな」と思ったので、日本に帰ってきてすぐに「おかんが ICO をすると言い始めたら気をつけてくださいね」と色々な場所で話をしてきました。

それが思っていたよりも早いスピードで現実的になってきました。本当におかんが ICO の相談に来る可能性がある時代になってきました。もしあなたのところにあなたのおかんが相談に来たら、ICO 詐欺を意図せずしてしまわないように、アドバイスしてあげないといけません。

ICO は誰でも資金を集めることができ、一方で出資もできます。資金の受け手と出し手、双方の敷居が低いのは良いことでもありますが、問題点も出てきます。集める側は ICO 詐欺を意図せずしてしまう可能性があるし、出す側は詐欺に引っかかってしまうこともあります。だからこそ、おかんが ICO すると言い出したら、あなたが気をつけてあげないといけません。チェックポイントは5つです。順番に見ていきましょう。

1. おかん、ホワイトペーパーあるの?

まず ICO をしようとしているあなたのおかんに確認して頂きたいのが、ホワイトペーパーを書いているかどうかです。幸いにして書いたものがあれば、まずはそれを読んで内容を把握しましょう。ホワイトペーパーがそもそもきちんとした内容になっているかどうかが重要です。プロジェクトの目的やトークンの役割、どれくらいの資金を集めようとしているのか、法的に問題のないスキームなのか、を確認しましょう。こういったことをきちんと書くのは意外とハードルが高いです。そして、もし日本語のホワイトペーパーしかなかったら、英語と中国語にも翻訳した方がいいとアドバイスしましょう。

2. おかん、そのトークン何に使えるの?

トークンの目的、意義を確認しましょう。トークンを発行して、それを購入してもらうタイプの ICO を企画していた場合、そのトークンの利用目的や購入した人にどういう良いことがあるのか確認しましょう。何の意味もないトークンを配るだけでは ICO は成功しないですし、そもそも ICO をする意味がありません。トークンの使い道、トークン購入者にどのようなメリットをもたらすのかをしつこく確認しましょう。

3. おかん、アドバイザーは誰なん?

おかんの co-founder は誰なのか、アドバイザーは誰なのか、それを確認しましょう。それがもしおとんだったら、断固拒否しましょう。ICO を止めるべきです。co-founder やアドバイザーは、ICO において非常に重要な意味を持ちます。なぜなら ICO プロジェクトというのは、「これから大きなことが始めます!」という宣言をし、その支援者を募るという行為だからです。そもそもその人を信用して良いのか、プロジェクトは信用に足るのか、実現性があるのかということを判断するには過去の実績が1番参考になります。その実績が皆無の状態ではトークンの購入判断ができないので ICO はうまくいかないのです。co-founder やアドバイザーは実績の一種とみなすことができます。

そして ICO 成功のカギは、その核となる Startup がプロジェクト実現に向けてコミットできるメンバーに支えられているのか、ということもポイントになってきます。おかんがエンジニアでないのであれば、エンジニアの数がどれほどいるのか、これも非常に大事です。エンジニア0人の ICO は、大工が1人もいないのに家を建てると言っているのと同じことです。もちろん、技術ドリブンな企画ではないものであれば、その限りではありません。しかしブロックチェーンを活用する以上、技術力は必須です。構成メンバーにおけるエンジニアの比率を確認しましょう。

もう1つ大事なこと。もしおかんのアドバイザーに Ethereum の Vitalik がいたら、厳重に注意してください。親子の縁を切ってもいいかもしれません。アドバイザーというのは、本人が良いと判断して承認をした場合に限ります。ただ名前を載せるだけではなくて、実務的にも何か貢献をしていることも条件です。実際によくあるのですが、資料に勝手に誰かの名前を載せたり、写真を使っているプロジェクトは悪質だと判断して構いません。もしあなたのおかんがそんなことをしていたら、もうおかんとは呼ばないでください。

4.おかん、そのトークンどこで売るの?

どこの運営主体がどこに向けてトークンの発行、販売をするのかも重要なポイントです。その選択によって法律や税務など確認すべきことが変わってきます。どこの国で ICO をしようとしているのか、どこの国の人に対してトークンを売ろうとしているのか。それを明確にしてあげましょう。この設計が間違っていた場合、後で大きなトラブルになる可能性があるので、トークンの発行主体や売り先がどこになっているのかをしっかりと確認しましょう。もしそれが中国やアメリカのようにすでに何らかの規制が発表されているエリアでの ICO だということが判明した場合には、全力で止めることをオススメします。

5.おかん、それ ICO する意味あるの?

世の中にはそもそも ICO をする意味のないプロジェクトが数多くあります。ICO というのは新しい形の資金調達です。ICO することによって、法律面、税務面の手続きが煩雑になることもあり得ますし、資金の用途に関して制限が出てくる可能性もあります。

また、集まりすぎた場合の問題も考えておかないといけません。もしおかんがすでに真っ当に商売をしていて、銀行の融資や投資家からの資金調達を受けられる状態にあるのであれば、わざわざ ICO をする必要はないかもしれません。

ただの資金調達の手段だと思って ICO を試みている場合も止めた方が良さそうです。なぜなら ICO には、資金を集めると同時に広くこの世界にプロジェクトの意義や存在を広める、告知をする、という意味合いがあるからです。つまり、広めることに何のメリットもないプロジェクトが ICO をしても、それはマーケティングやカスタマーサポートのコストが増すだけで意味がないですし、広く多くの人の応援を受ける意味もありません。特定の少数の人が儲かる仕組みのビジネスであれば、ICO をして色々な人を巻き込む必要はありません。世界中の人を巻き込んで応援者にすることが必要となるプロダクトや事業であれば、それは ICO に適しています。

そもそも ICO をする必要があるのかどうか、資金が欲しいという理由だけで ICO しようとしているのではないか、それをきちんとおかんに聞いてください。

おかんが ICO する時に備えて

5つの質問におかんが答えることができて、そのプロジェクトが ICO に値するとあなたが思ったら、近しい位置にいるあなたが取るべきアクションは、ソースコードレビューをすることです。おかんあるいは co-founder が書いたコードをレビューして、そのプロジェクトが実現可能かどうか判断してください。
そしてそこまで決まれば、トークンをどれだけの金額で、どういうタイミングで売るのかなど、実務的な相談に乗ってあげる必要が出てくるでしょう。

その段階まで設計できていて、5つの質問に適切な回答ができているのであれば、すでにおかんは Telegram か Slack、あるいは Twitter でコミュニティーを構築しているはずです。つまり、おかんは独自の支持者を持っているはずです。あなたもそのコミュニティーに入って、プロジェクトが活発に進んでいるかどうかをチェックしてみてください。もし5つの質問に全て納得の得られる回答ができていたとしても、コミュニティーを構築できていなかった場合、おかんの ICO は失敗する可能性が高いです。適切な場所で適切な属性の人を集めて、コミュニティー活動に時間を割くようにおかんにアドバイスをしてあげてください。

ICO の本質についての見解はこちらにもまとめています。

あなたのおかんが ICO をする時代は、もう目の前です。もしかしたら、もう・・・。

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