分散化していく社会

社会の分散化とは

世界は今後、ますます分散化していくでしょう。

分散化とは、完全に個々の存在が孤立してしまう状態ではなくて、より小さくて効率的な組織、コミュニティーに分割されていくことです。1人の人間という視点で見れば、複数の細かく分割されたコミュニティーに存在するということになります。コミュニティーが物理的に離れていることもあるでしょう。そういった社会構造に向かっていくのが、仮想通貨の描いている社会です。

英国のユーロ離脱、アメリカの TPP 離脱、カタルーニャやスコットランドの独立の動きのように、今この時代において新しく自分たちの価値観を共有できる最小単位の集まりに戻ろうとする傾向が見てとれます。ドイツの選挙でも見られたように、移民の受け入れに反対する人々や他国との壁のない貿易を拒否する人たちの声が大きくなりつつあります。

ビットコインという実験

世の中の流れを振り返ると、人類が夢見た「国家同士を結ぶ」という大きな枠組みでの世界の統一が、本当に難しいものだったと思えるようになってきました。これからを考えると、やはりより価値観を共有できる、小さなコミュニティーを作る方向にいくでしょう。

ビットコインというのは、その可能性の一つです。ビットコインという新しく信じられるものを作った人たちの思想に共感する人たちが、基軸通貨からビットコインの世界にやってきています。ただし、ビットコイン100%という人は存在せず、大抵は普通のコミュニティーにも属しています。ビットコイン、イーサリアム、イーサリアム上の別のトークン、円やドルといった生活上必要な通貨、こういったものを並行して持っていることがスタンダードです。まさに、自分が共感できる価値観のコミュニティーに複数所属する1つの形だと思います。

健全な分裂は健全な分散化社会を育てる

そう考えると、仮想通貨の世界でビットコインがハードフォークしたり、複数のオルトコインが存在するのは健全なことです。ビットコインという1つの思想だけで、ユニバーサルな世界を構築できないということは、今の世界が十分に教えてくれました。ビットコインという小さな世界であっても、その中で個々の思想があり、違う理想があるために、ビットコインは複数に分かれ、他のオルトコインに人は流れていきます。これからの時代に必要なのは、自分に最適な価値観のコミュニティーを見つけてそこに所属することです。

ここで「最適な価値観のコミュニティーなど存在せず、結局は“1人”になってしまうのではないか」という疑問が湧くかもしれません。しかし、完全な個人になるのは不可能です。なぜなら僕たちは人間だからです。人間は個では生存できません。個体の状態の人間は非常に弱く、ライオンやサルの方が強いわけです。ジャングルの中に1人で放り出されたら人間は生きていけません。だから人間はコミュニティーを作ることで発展し、それを生存戦略にしてきました。

例を挙げてみましょう。

Amazon はインターネットでロングテールを発見しました。同じ価値観を持った人が広い世界にはたくさんいることが分かったのです。街の書店はベストセラーをたくさん売ることで売上げをあげていきますが、在庫を無限に抱えることができる Amazon は1クラスのうち1人しか買わないようなマニアックな本を置いていても、小さな書店におけるベストセラーのように売れていきます。ロングテールの発見によって、マイノリティーでも“世界”規模まで視野を広げれば思っている以上のボリュームが存在することが分かりました。マイノリティーの思想、価値観であったとしても、それを世界中から集めることができれば、大国に匹敵する国民の数が作れるかもしれないのです。インターネットの力を使うと、そういったコミュニケーションを可能にし、新しい価値観のつながりを強固なものにできます。

学校の40人クラスで価値観の合う人は1人か2人、0人だった人もいるでしょう。これから先の分散化社会においては、無理に自分の価値観と違う人に合わせる必要はありません。自分に最適な価値観を持つコミュニティーや場所を探しに行くことが重要なのです。

これから何が起こるのか

分散化社会が進んでいくと、ブロックチェーン上で国家を建設し、そこの住人になることもできるようになるでしょう。“仮想国家”という新しい価値観では物理的にどこにいるのかはそれほど重要ではなくなっていくはずです。日本に住んでいても円で給料を1円ももらっていなかったら、果たして税務申告はどのようにすれば良いのでしょうか?仮想国家に所属し、その国の仮想通貨で給料を得て、毎日パンを買うためだけに最低限の仮想通貨を日本の取引所に移し、あるいは分散型取引所を使った相対取引をし、円に換金したら?円で見たときの収入も資産も、異常な低さになります。

日本という国家に住みながら、仮想的な別の経済圏で経済活動をすることもできてしまうのです。そういった形の仮想国家は、今後出てきます。そして、複数の仮想国家に所属する生活が当たり前になる日も来ると、僕は考えています。

人間という存在は常に複数の人でコミュニティーを形成して、コミュニティー単位で他の動物や自然の脅威から身を守って生き延びてきました。だからどれだけコミュニティーが分割されていっても、個体の状態で人は生存できません。人間は、より効率の良いコミュニティーを求めて今、大きな旅を始めたところです。

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