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雑記

文化の極みだよ

古池や蛙飛び込む水の音

松尾芭蕉のこの俳句を聞いて、あなたの頭に浮かんだ蛙の色は何色でしょうか?

多くの人は緑色と答えるのではないでしょうか。それはこの状況で池に飛びこむのは緑の蛙だと多くの日本人は思っているからです。しかし、文明や国が違えば、蛙が何色なのか様々な意見が出てきます。頭の中に描く情景もきっと違うでしょう。

たった17文字で構成される俳句で共通の情景を浮かべることができるのは、日本の文化、文明がハイコンテクストな文明だからです。みんなで積み上げてきたことがたくさんあるので、わずかな言葉で絵画に匹敵する情報を伝えることができるのです。そういった日本文化の特徴がアニメにも表れています。

日本の多くのアニメには、コンテクストを理解していないと解釈できないものが多く含まれています。一方で、そういった部分に他の文化圏の人々が魅力を感じ、憧れを生む要素になっている側面もあります。

例えば「けいおん!」は女子高生の日常を描いたアニメですが、日本の女子高生の日常を理解するためには、日本に住んで、文化、文明を共通にしていないとなかなか難しいでしょう。退屈な日常を過ごし、制服を着て卒業間近の夕日が差し込む教室でお茶を飲む。こういう状況でどんな感情になるのかを理解するというのは、この世界で本当に限られた人しかいません。

つまり「けいおん!」は、俳句がそうであるように、作った人もそれを受ける人も非常にレベルの高い価値観の共有を行っていると言えるのです。シンプルで分かりやすいハリウッド映画のような共通言語ではなく、一部の人にしか分からない、伝わらない、そんな高度な文化的な仕組みが含まれているのが日本のアニメであり、「けいおん!」のすばらしさだと思います。

ってなんか最後、今頃になってすごいけいおんを推してるひとみたいになっていますが、後悔はしていない。

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