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雑記

Coincheck を応援しています

はじめに

僕が共同創業した SIVIRA の株主には、ビットコイン取引所の bitFlyer や、多くのビットコイン取引所と関係の深い Ceres がいます。それに、日頃から主要な取引所の方々とも仲良くさせていただいていますし、僕は GMO のアドバイザーでもあります。それでもあえていま、個人的な見解として、コインチェックへの想いを残しておきたいと思います。

君は Mt.Gox を知っているか?

2週間前ですが、ビットコイン・ブロックチェーンスクールでそういうタイトルの話をしていました。

その時話した内容をブログにまとめようと思っていた矢先に、Coincheck における NEM の盗難事件が発生しました。これは自分にとっても新たなきっかけとなる事件なので、少し振り返りたいと思います。

Mt.Gox 事件は、簡単に言えばビットコイン取引所の破綻事件でした。あの時実質的にはひとつしか無かった取引所が、多くの顧客資産を保持したまま閉鎖されてしまいました。当時わずか2%とも言われた日本人利用者のうち、ひとりは僕でした。

僕は2013年から続けていたビットコインの情報発信ブログの一貫で、動画や記事で状況を伝えていました。趣味ブログの範囲でしたが、ビットコインそのものに熱狂していたので、あんな状況とはいえ楽しみながら情報を探していたことをはっきりと覚えています。

Mt.Gox 事件で僕は債権者となったわけですが、吸収された金額の大きさとは逆に、精神的なショックはあまりなく、むしろいままでオタクのものだったビットコインが一般に知られるきっかけになるのではないかとワクワクしていたのでした。元々単なる投機対象としてのビットコインには興味がないというスタンスであり、その背景にある技術的特徴こそが価値であると言い続けていたため、ベータテスターとして光栄な体験が出来たとさえ思っていたのだと思います。

Gox の後、ファミレスで未来を語り合った日

Gox の後、大塚さんから初めて連絡をもらいました。ビットコイン事業に参入しました、という連絡でした。僕に何ができるかはわかりませんでしたが、ビットコインという共通の話題で語り合える人に知り合えることが嬉しくて、問い合わせメールに返信しました。

待ち合わせをしたファミレスでカレーを食べながら、これからどういうことが起こるかを二人で話しました。まだ、仮想通貨業界・ビットコイン業界なんてものも存在しない時の、決して忘れられない想い出です。

あの時、結果的に僕はビジネスとしてはどこの取引所とも関係を持たず、個人的にブログに応援記事を書くという関係に落ち着いたわけですが、あの頃のどんな産業と比較しても、コインチェックの成長は桁違いです。

その成長っぷりを知っているからこそ、今回の事件発覚後も、金銭的な側面からは会社の存続に不安はなく、相談に来る多くの人に対して、倒産は無いと個人的には考えているし、安心して待っていたらいいと思いますと回答していました。

Coincheck のセキュリティーへの対応や、経営課題に対する優先順位の付け方など、擁護することが出来ない事があったのも事実です。しかし、業界をリードする彼等がいたからこその、仮想通貨の発展であったことも事実です。

技術者中心に作られた取引所であり、特に初心者にとってわかりやすい取引所として、評判はとても良かったです。だからこそ、今回の問題は残念でなりません。

Coincheck の記者会見の最中、仮想通貨技術に詳しい仲間たちとオンラインで話しながら、何が問題だったのか、どうすれば防げたのか、こうなった場合どうすれば良いのか、について長々と議論しました。この体験は、業界全体を強くします。

Gox が忘れられた世界で

昨年後半からビットコインの価格上昇が続き、市場参入も増え、基本的には良いこと尽くしでした。まるで、これまでに何もネガティブなことが起こったことが無いような、常に価格は上がるような、そんな印象をもった人が増えてきた印象がありました。

それに、取引所事業は儲かる、みたいな考え方で参入検討されていた方々も多くありました。なぜ僕がセキュリティーリスクを理由に No と言い続けていたか、わかっていただけたでしょうか。それほど、難しいビジネスなのです。

楽して儲かるとか、そんな世界じゃないんです。これは、人類がこれまでに培った価値観への挑戦であり、新しい世界観の構築なのです。半端な覚悟でできるビジネスでは無いのです。

だからこそ、Gox を知っている人、体験した人と会うと、安心します。いろんなことを見た上で、それでもこの挑戦を選択したんだなということがわかり、嬉しいのです。

これから本当の変革を担うのは、いまここにいる人

2013年から、世界中の様々な地で、大企業や VC に対して、ビットコインと、そしてブロックチェーンの話をしてきました。しかし、ほんの一年、いや半年前までは、まともに目先の重要な事項として捉えてくれた人はほとんどいませんでした。数少ない支援者に理解をしていただき、いまの自分はあります。

逆に言えば、この半年間の過熱ぶりは想像以上でした。だからこそ思います。いまもしこのタイミングで離れていく人がいるなら、お願いです。全力で走って離れていってください。一生信じませんし、もう会うこともないでしょう。そんな表面的なことだけでこの業界を捉えているのなら、何も見えてないのと同じです。

良い時しか知らない人よりも、悪い時を知っている人の方が信頼できるのは当然でしょう。いま、みんなが悪い時とはどういう時かを知りました。ここが、分かれ道です。

良い時だけ応援するなんて、誰にでもできます。和田さん、大塚さんや、社員のみなさんが多忙な中問題に取り組んでいるところを見ていたからこそ、こんなことで終わってほしくないし、同じ業界にいる人間として、この課題を共に乗り越えたいと心から思っています。

今回も、やはり新聞報道には酷いものもありました。加えて SNS でも、社長や経営陣が若いだの、経験が無いだの騒いでいる人を多く見かけました。何も行動しない口だけの人達の言葉には何の重みも感じませんが、負け惜しみは言わせておけば良いと思います。みんなと同じ意見で安心したいのでしょう。

いまの自分に何ができるかなんてわかりませんが、ただただ、Coincheck のこれからの挑戦を応援していきたいと思っています。伊達に、Coincheck ユーザー ID 2桁台前半じゃないんですよ。

最後にひとことだけ。Gox 世代なめんな。

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