なぜメールアドレスを集めるのではなく Slack アカウントを開設するのか

Slack の重要性について質問を受けた

2017年にいくつかイベントを立ち上げて運営しました。その際、メールアドレスを集めるか?という議論があったのですが、それはあまり意味が無いんじゃないかと思っていたので、その時自分が運営メンバーに送ったメッセージを整理しました。

メールとかあんまり見ませんよね?

今後ますます Slack の重要性が高まるとみています。技術者系の集まりでは近年、そのグループに Slack チャンネルを作ることが多くなっていましたが、これが一般に広がっていきそうです。

これまでであればメーリングリストに登録してもらうといった手法が主でしたが、メールをそもそも全く使わない技術者も増えてきたぐらいコミュニケーションのスタイルがチャットベース、Slack 主体に変わってきています。Slack アカウントがあるかないかは、今後ますます重要なことになるのは間違いありません。まさに、一昔前の「メールアドレスを集めたかどうか?」に近い状況が生まれます。

そもそも日本のオンラインコミュニティーの生態系はどうなっているのか

技術者系の集まりでは Twitter 利用者が多く、 Facebook は嫌われることもあります。Facebook は実名で友達とつながるものなので、趣味や目的のはっきりした集まりにはそれ用の箱が求められます。

結果的に、残る選択肢は2つです。

  1. Twitter の Hashtag でつながり議論をする
  2. 同じ Slack チャンネルに入る

大抵は1で事足りるのですが、継続性を持たせてプッシュで情報を伝えるためには Slack が欠かせません。 Slack が日本に進出し、本格的に日本語化されるているため、アメリカのように市場を拡大することは明らかです。TVCM、タクシー広告も始まっています。「今のうちにメールアドレスを集めておきましょう」の2018年版が始まりました。

チャットサービスの歴史

チャットサービスの歴史的経緯について少し振り返ります。

IRC(Internet Relay Chat)をご存知でしょうか?誰もが無料で使えるチャットで、文字だけの画面でやり取りができるものです。いまだにオープンソースコミュニティは IRC でコミュニケーションを取っています。もちろん、ビットコインにも IRC チャンネルがあります。この IRC をパソコンのギークだけではなく誰でも使えるようにしたものとして、グループチャットサービスの Campfire などが生まれました。Ruby on Rails を生み出した 37signals(現 Basecamp)が、ユーザーフレンドリーなチャットサービスを開発して話題となりました。

その後、Campfire の対抗馬として HipChat が登場しましたが、どちらもチャット文化を激変させるほどの市場獲得はしませんでした。しかしながら、ビジネス用のチャットサービスの市場がたしかに存在するということは証明されていました。Skype などの個人間チャットサービスと違って、情報の管理を管理者(例えば会社)が握っているという点が、ポイントです。Skype の個人アカウントに紐付いたチャット履歴を持って会社を辞められたら、機密情報の管理ができないという問題があるため、グループチャットサービスはビジネスにおいて必須のものになりました。日本でも、その点をうまく売り出している ChatWork が成長していますね。

なぜ Slack だけが急激に伸びたのか

一見すると、先行していたサービスと同等の Slack だけが、後から出てきて大成功しました。同じく後発の ChatWork も健闘していますが、なぜ Slack が基本有料サービスであるにもかかわらず勝てたのか、という議論は数年前からありました。

成功の理由の1つはユーザーインターフェースにあると言われています。発言者のアイコンに写真が入っていたことや、シンプルでありながらわかりやすい設計は古くからのユーザーにとっても新規ユーザーにとっても馴染みやすいものでした。もともと “UI が使いやすい IRC” だった Slack ですが、その使いやすいという事がメールを置き換えるインフラとしては想像以上に重要で、想像以上に難しいことだったと言えます。

先行サービスも悪くありませんでしたが、チャットサービスとしてのインターフェースのセクシーさは飛び抜けていたと個人的には感じました。それはやはり、デバイスへの対応が迅速だったことにも関係しています。スマートフォンやタブレットという多様化したエンドユーザーの端末に次々最適化する速度の速さは、競合には見られないものでした。これを実行するのは、非常に難しいことです。

加えて拡張性があったことも普及を後押ししました。チームで最初に Slack をインストールして試してみるような層にとっては、いろんな Hack ができるという要素は彼ら彼女らをエヴァンジェリストにするためには重要でした。

ICO 時代のチャットサービスの重要性

ICO の界隈でも、Slack のグループを作ることが増えていました。最近だと Telegram が多くなっています。こういうビジネスに繋がるコミュニケーションチャンネルを構築する場合、昔はメールマガジンを発行し、メールアドレスを集めることが重要でした。次に Twitter のフォロワーを集めましょうとなり、今はそれが Slack や Telegram のようなチャットサービスになっています。Slack のパブリックチャンネルに人を集めるということは、自社のファンを増やすためにも今後ますます重要になってきます。

Slack は自社内のコミュニケーションに使うことが普通ですが、プロジェクトのチャットルームを作ってそこに人を集めることが効果を生み出します。なぜそれが有効かというと、プッシュ通知を送れるからです。メールマガジンは読みにいかないといけないし、Twitter はタイムラインで流れてしまいます。しかし Slack のチャンネルにはメッセージの通知がポコッと出ます。LINE のクーポン開封率が異常に高いのもプッシュ通知ができるからです。からあげクンのクーポンを配信したら高校生が大勢来たといった出来事が数年前に発生していますが、こういった現象が起きるのにはもう1つ理由があって、“未読を既読にしないと気が済まない病”にみんなかかっているからです。これはとても機能します。深刻な病ですね。未読の状態で放置しておくの、苦痛じゃないですか?たまにすごい未読数の猛者がいますが。

Slack で情報が来たら、みんな見てしまいます。だから Slack チャンネルの参加者を増やしておくのは将来に渡って価値を生み出します。LINE のグループでもいいですが、やはり日本が中心になってしまいますし、双方向の積極的なコミュニケーションは期待できません。

2018年にビジネスチャットは重要さを増す

Slack は今、ギークやビジネスパーソン、スタートアップが中心となって使っていますが、日本でもタクシー等で CM が始まったので、一般の会社がこれから使い始めます。そして ChatWork も上場を目指し、ユーザー開拓を進めています。この競争があるので、今年はビジネスチャットサービスの利用者が仮想通貨のように急増すると思っています。そのため今のうちから Slack のチャンネルの上位入りしておくと、大きな効果が期待できます。人は100個も200個もSlackのチャンネルに入りません。メルマガが流行った時もそうでしたが、登録したメルマガが10、20と増えてくると段々と解除していきます。そういう意味でも今のうちに Slack での購読者を増やしておくことには価値があります。それは将来に渡ってその会社、プロジェクトの露出を助けることでしょう。

もちろんまだやり方も確立してなく、どれほど機能するかは分かりませんし、今後どれほど活発になるかは未知数です。ただ費用が多くかかるものでもないので、Slack の活用を強くお勧めします。集客数や登録数、発言数などを集計しながら運用していくと、きっとあなたのプロジェクトの資産になると思います。

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